人気ブログランキング | 話題のタグを見る

バーボン

最近バーボンをよく飲んでいる.日本でウィスキーを自分で飲むことは
ほとんどなかったが,せっかくアメリカにいるので(ミラービールにも飽きた)
ちびちび飲んでいる.基本的に一人で一日のことを振り返りながら
ゆっくり飲むせいか,味わい深さが多少わかってきた.アメリカンウィスキーの
次は,カナディアン,お金が貯まったらスコッチを少っち試してみるつもりだ.

話は変わるが,アメリカに来て酒を飲んで翌日,自己嫌悪になるということが
なくなった.酒だけではない.英語が上手くできなかったり,自分の不勉強に
気づいたときなどの自己嫌悪感(卑屈感)がここ最近薄れてきた気がする.

自分の欠点が克服されたからではない.アメリカ生活の中であまりにも様々な
困難に直面したために「俺って本当は大したことない男だな」と気付いたからだ
と思う.自己嫌悪というのは,自分がもっとしっかりした立派な人間だ
という錯覚が生みだすものなのだと実感.日本では,仕事にプライドや自信を
持っていたので,ずっと日本に居たらカンチ君(勘違い野郎)のままだったと思う.

本質を高めれるよう日々努力ですね.

# by goritousan | 2010-02-02 09:49 | 徒然

削られる実験

実験は失敗が続くと本当に気が滅入ってくる.
日本で臨床と平行してやっていた時は,時間が限られていたこともあり
新しい実験を試して上手くいかない時の諦めはとても早かった.

現在は実験だけの生活である.日本で学位は取得したので,アメリカ滞在の
期限こそあるものの結果を出す期限は,基本的にないに等しい.
なのでこちらに来て新しい実験で失敗しても原因を探そうとしつこく粘っている.
おかげでとても「削られている」.ちなみにこの単語は後輩が
「気が滅入る」のニュアンスで使っているのを聞いて気に入って
真似して使っている.

ここ最近2週間は心筋ミトコンドリアの呼吸鎖を分離して酸化還元を
ダイレクトに観察する実験の失敗を繰り返していた.
かなり削られていたがようやく上手くいった.
日本では感じなかった充実感(とても地味な)をアメリカで覚えつつある.

# by goritousan | 2010-01-30 09:24 | 徒然

入局する研修医

日本で働いていた病院で麻酔科研修に来た初期研修医が僕の所属する
麻酔科に入局することにしたという連絡がきた.
とても一生懸命な研修医で,麻酔の厳しい(?)指導で時に涙したり
していた.麻酔を一緒に行った他,当直で外傷性軸索損傷の患者さんの治療を
しながら押し寄せる急患に一晩中対応した時,弱音を吐かず一生懸命に
何かを学ぼうとしていた姿勢がとても印象に残っている.

そういった姿勢に感動し麻酔科へ勧誘も行っていたのだが,
実際に入局してくれるのはやはり嬉しい.と同時に気が引き締まる思いもする.
数年後に「やっぱり麻酔科を選んでよかった」と思ってもらえるような
一因になれるように,共に成長したいものです.

# by goritousan | 2010-01-23 00:45 | 日常のこと

続 論文作成

年末に上司に提出した論文だが,校正されて返ってきた.
跡形もないのではと危惧しながら恐る恐るファイルを開いたら
ほとんど自分の論文のままだったのでほっとした.
英文校正をやってくれたようだ.感謝感謝.
その一方,雑誌への投稿,corresponding authorも引き受けてくれた.
これは,ちょっと複雑な心境だ.やっぱり大変なのは
reviewerとのやり取りで,これをやって頂けるのはこちらとしては
楽なのだが,自分の勉強という意味では不完全だからだ.

「大善は無慈悲に似たり,小善は大悪に似たり」という言葉はあるが
今回は,中善くらいでしょうか.
いずれにしても感謝しよう.これで一段落ついたわけだから.

# by goritousan | 2010-01-19 09:25 | 臨床以外の仕事

術後を見据えた術中管理-2

昨日の論文に関する自分なりの考察をしてみた.
まずこの論文の注目すべき点は,

使用麻薬量,アロディニア,慢性痛の3点を評価した(初の)論文であること.

これまで,オピオイド誘発性hyperalgesiaについての報告はあるが,
この論文のように臨床麻酔にすぐに生かせる臨床研究というのはあまりなかった.
急性期のアロディニアが慢性痛の発生と関連する(つまり予測できる)
ということは術後の治療戦略の指標にもなると思う.
これまで,急性痛が慢性痛の要因になるという報告は多々あるし信じていたが
本論文では急性痛に関しては両群間で差がないのも興味深い.

機序については,オピオイドによるpronociceptive systemとantinociceptive
systemのhigh level balanceが痛み惹起の脆弱性に関わるという考察がなされている.
なんとなくイメージできるがもうちょっと勉強しようと思う.

さて,ここからは持論であるが,僕は以前からエピが使える症例でもレミで
乗り切る麻酔というのが正直嫌いだった.コストがかかるとかシバリングが多いとか
そういった臨床的側面の話ではなく,何でも簡単にリスクを冒さず乗り切ろうという
空気(僕が勝手に感じているだけだが)が自分の麻酔家気質に反するのだ.
レミの発売後,術中管理はレミで術後はPCA使用で,エピを使用時した場合と入院中
のVASは変わらない,つまりエピの合併症の危険を回避できる上にアウトカムが
変わらないとレミ派のエビデンスを聞いても,術後回診時にぐっすり寝ているPCAの
患者さんを見る度に,「やっぱりエピの方がいいよな〜」と思っていた.
さらに,術後慢性痛でペイン外来に来ていた患者さんの多くが術中レミ主体麻酔
だったのだが,nが少ないのでなんとも言えないな〜と思いつつ渡米した.

渡米5ヶ月目になり,そんな臨床の思いを忘れてきていた時期にふと出会った論文.
自分の気質を支持してくれるエビデンスを提供してくれたことに感謝したい.

# by goritousan | 2010-01-16 01:29 | 麻酔