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豪雪地帯で室内テニス

すっかり冬になってしまいました。先日、雪深い小樽で室内テニスのダブルスの試合があり出場しました。いつもより若干レベルの高いカテゴリーだったのでどうなるかと思いましたが、20代ペアを相手に2連勝し、3試合目も4-0とリード。準決勝進出が見えてきたところで、ダブルスパートナー(50歳:元札幌代表)の足が痙攣。何とかプレーを続行しましたが, 足が動かなくなったことでボールを上手くさばけず、メガネにボールが直撃。メガネフレーム角度が120度くらいに開いてしまい、メガネを押さえながらプレーを続行するも上手くプレーできず、徐々に挽回されタイブレークで敗れました。二人合わせて92歳ペア。次は体力とメガネを強化して優勝を目指すことを誓い合った次第です。

さて、雪深い自然に出くわすと、必ず思い出すのは新田次郎の「八甲田山 死の彷徨」です。この小説は明治時代に実際にあった陸軍訓練中の事故に基づいています。日露戦争に向けた訓練として、青森の陸軍第5聨隊と第31聨隊で豪雪の冬の八甲田山での雪中行軍が企画され、両連隊は八甲田山ですれ違うように行軍する予定でした。第31聨隊は徳島大尉が指揮権全権を担い、入念な準備と適材の人選、雪中行軍研究を同時に進めながら、一人の死者を出すことなく見事に雪中行軍を全うします。一方、第5聨隊は当初、神田大尉が指揮権を持って準備を進めていましたが、彼の上司である山田少佐が神田大尉の計画に干渉し、実際の行軍でも指揮権を奪ってしまいます。現実に即した神田大尉の計画や提案に対し、山田少佐は精神論や自己顕示を優先する傾向にあり、冬山における基本的な準備や対策がないまま行軍を続け,210名中199名が凍死するという大惨劇を招きました。
最初にこの小説を読んだのは大学時代でしたが、物事の準備、実行、後始末のうち準備がいかに大事であるか、そしてリーダーシップとは何かを考えさせられました。また、実際に起きた事件を新田氏が入念に調査して書かれており、小説とはいえノンフィクションに近いということがとても衝撃的で、思わずその年の冬休みに「雪の八甲田山(温泉)ツアー」に参加して冬の八甲田山を見に行ったくらいでした。先日の雪深い小樽で思い出し、また読み返しました。この小説を読むのは、これで3,4回目でしたが、その時の年齢や置かれた立場で、感じ方が少しずつ変わってきたように思います。今回は、指揮権に統一性がないことによる現場の混乱と疲弊、命令の背景にある指揮官の思惑が私心に依っていると、組織全体が大事に至る可能性があることなどを、自分の状況に鑑みながら読み進めた次第です。
「七情」とも言われる私心は、誰でも日常的に湧いてくるものですが、私心から脱して、現実に即した冷静な分析と判断で物事を押し進めることできるかどうか。もう一度、日々の判断が私心に依っていないかどうか確認して諸事を進めようと思います。色々とね。

by goritousan | 2017-12-18 19:36 | 徒然